前回はお話(プロット)を作る3つスタイル
Arch plot ・ Mini plot ・ Anti plotについて話しましたね。
前回は映画の説明ばかりでしたが
実はそのプロット分類を漫画にも当てはめる事も出来ます!
当然ですね。映画も漫画も「お話」で作られるのは同じですから。
では、次の図を御覧ください。
私が読んだ漫画の中で一部を選んで、プロット分類をしてみました。
どの漫画も大人気作ばかりですけど、何故か「皇帝の花嫁」という超マイナー漫画が混じっていますね。
あまり気にしないで方向でお願いします。ウソです。気にして!読んで!(必死
どうでしょうか。しっくりくるのでしょうか?この仕分けについて簡単に説明してみましょう。まず、Arch plot漫画を御覧ください。全ての作品が主人公が誰かハッキリと分かるし、(タイトルから主人公の事だったりしますね)
やり遂げたい目標がハッキリと存在し(タイトルから主人公の目標だったりしますね>ワンピース)
戦って勝つべき外部の敵が存在する話ですね。(暴力限定の話ではなく、何かしらの対決(戦い)があります)
時間が連続してるので、次回に続く展開で連載分が終わる事が多いです。次はMini plot漫画を見てみましょう。全ての作品が外部の敵との戦いよりも心の悩みが主なポイントになりがちです。多数の主人公がいて、話によって主役が交代します。連載分が読み切りとして構成される場合が多いです。ここで、理解力が非常に高い読者なら
「神のみぞ知るセカイはヒロイン一人一人の話を見せるMini plotなのでは?」と
思われるかも知れません。鋭いご指摘ですが、実はちょっと違います。
桂馬が平穏な日常を取り戻す為に駆け魂を回収するお話は
「犬夜叉」でかごめが四魂の玉を取り戻す話と構造的に同じです。
桂馬はウジウジ悩んだりしない
行動的な主人公で、
明確な目標の為に
外部の敵(女の子)と
戦う(攻略)から
Arch plotに近いです。
次はAnti plot漫画を見てみましょう。ボーボボが一番いい例だと思いますがボーボボでは何の因果もなく変身したり、仲間が裏切ったり、強くなったり、主人公たちがフザケ過ぎてどこまで事実でどこまでウソなのか、
分からなくなります。例に出した漫画をみてもわかりますが、Anti plotはギャグマンガでよく使われるスタイルです。さて、ここまで読んで
一つ気がついた事はありませんか?
そうです。
大ヒット漫画にはArch plot作品が多いです。Mckee先生は言います。
「Arch plot->Mini plot->Anti plot->None plotに
行くにつれて、観客の数が減っていく」
Mckee先生は付け加えます
「そして、それは作品の質とは何の関係もない」端的に言えば、
「Arch plotの凡作がAnti plotの名作より人気が取りやすいよ」って話です。
そもそも最初からパイの大きさが違いますから。
では、どうしてArch plot作品が一番、見てくれる人が多いのでしょう?
それはプロットの選択が
ただ創作の記法の問題ではなく
「作家の思想の現れ」だからです。
大多数の人々は
「自分自身が人生の主人公であって
不幸の原因は外(他人=敵)にある。
全ての現象にはちゃんとした理由があって
人生にはハッキリした結末がある。
自分の人生にはちゃんと意味がある」と信じて生きてます。
人生に意味なんてないと思いながら生きるのは辛いですから。
それはArch plotの構造と同じです。
つまり、Arch plotで作品を書く作家は
大多数の読者と同じ考え方で世界を見ています。
だから読者もその作家についていけるのです。Arch plotはハリウッド映画の創作方法ではありません。地域も時代も関係ありません。
神話・童話など、人類が何千年もの時を作ってきた話の99%がArch plotだったのです。Arch plotの構造こそが人間の一番自然に受けいられる話の構造なのです。Arch plotが三角形の頂点に位置したのはそういう理由でした。さて、
すでに気がついている方も多いと思いますが
Mini plotの特徴を並べると手動的な主人公(ヘタレ男子)、心の悩みが主な葛藤になる事(誰と結婚しよう?)結末に解析の余地がある(どっちとも結婚せずに完結)など…ラブコメ漫画の特徴と見事に一致します。実は、ラブコメ漫画はほぼ全てがMini plotだと言えます!例外があるとするのなら「神のみぞ知るセカイ」くらいでしょうか。(今はそれ以外はちょっと思いつきません)
主人公の桂馬にはハッキリした目標があり、行動的ですね。
「優柔不断な主人公」というラブコメの典型から外れてるので
ラブコメにも関わらずArch plotになった、稀な例です。
では、そろそろ結論を出してみましょうか。ご存知の通り、ジャンプは「アンケート至上主義」で動きますね。どの雑誌でも人気で作品の寿命を判断するのは常識ですが(4回で打ち切ったり・・・
普通はバランスを取ってラブコメ・ギャグなどのジャンルの「枠」を残そうとします。でもジャンプではそんな事しません。紙面のバランスよりアンケートを重視します。
そんな厳しい状況ですが、
ラブコメ漫画は基本的にMini plotなので
人気ではArch plot漫画に比べて不利になります。(なんども言いますが、それは作品の質とは関係ないのです!)結果的に、
ジャンプはラブコメが排除されやすい体質の漫画誌になるしかなかったのです。(ちなみに、バトル漫画は殆どがArch plotですし、 一番書きやすいArch plotがバトル漫画です)長くなりましたが、短く書けばこうなります。
[Q] ジャンプには何でラブコメは一つも載ってないの?
バトル漫画ばかり載ってる理由はなに?
[A] ジャンプは人気至上主義なので
人気競争で根本的に不利なラブコメが
生き残るのが難しいからです。(
Mini poltの根本的に不利を説明するために長い話が要りました・・・)
ラブコメの不在を嘆いたジャンプ読者の皆さんには
何の慰みにもならないかも知れませんが…
結論はそうです。
余談ですが、
「僕が読んでる漫画雑誌では一番の人気作がラブコメだし、
他の連載作でもバトルとかよりラブコメのほうが人気が高いです。
本当にMini plotは人気取るのに不利なんですか?」と
Mini poltの根本的に不利について、疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
それは
その
雑誌がMini plotが好きな読者の為に作られているからです。
ジャンプは全ての年齢を相手にするメジャー雑誌ですが
非常に漫画雑誌の数の多い日本では、特定の層を狙い撃ちする漫画雑誌のほうが多いです。
特に月刊誌はMini plot好きの読者の為に作られた雑誌が多いです。
そもそも月刊誌では時間が連続しているArch plotをやるのが難しいのです。読者が先月読んだ話を覚えてないので!
勿論、月刊誌でもArch plotが主力の雑誌は何誌か存在しますが、Mini plotが主力の雑誌のほうが多いです。
Arch plot-> Mini plot -> Anti plot ->None plot
に行くにつれて客の数が減る原則は漫画雑誌でも同じなんです。
だからNone plotまでマイナーな指向になれば、メジャー誌では殆ど存在しませんが
隔月刊・不定期漫画雑誌ではそういう漫画を良く見かけます。
最後に付け加えますと
ジャンプ・マガジン・サンデーの中で
ラブコメ(Mini plot)漫画がもっとも多いサンデーが
3誌の中で一番発行部数が少ないのは偶然ではありません。誤解なきように言っておきますが
それは連載作品の質とは何の関係もないのです!
私はサンデーを定期購読していますし、ラブコメ漫画が多い現状になんの不満もありません。
ファンとしてもっと売れて欲しいとは思いますが・・・
サンデーの根本的に不利な状況を認識しているだけです。
以上です。
長くなりましたが
これで皆さんの疑問が少しでも解消されていれば嬉しいです!
最後まで読んでくださってありがとうございました!
では失礼します~P.S
*漫画のプロット仕分けについて
漫画は映画と違って、長期間の連載を基本として作られます。
(4回で打ち切りされたりしますが・・・>しつこい
映画1本より何倍も長い内容を1本の話だけで構成するのは、ほぼ不可能に近いです。
だから大体の漫画は話の区切りを作ったり、短い話を混ぜたり
稀には主人公を交代(例:ドラゴンボール)したりしながら、連載を続ける事が多いです。
つまり、どの連載漫画もMini plot的な側面があります。だからといって全ての漫画をMini plotだと主張しても面白くないので
それを踏まえた上で、少し緩和された基準で判断してみました。
*ツイッターでの発言ミス
以前、松本次郎先生の作品とコーエン兄弟の映画をnone plotだと
ツイッターで言ったことがありましたが、間違いです。
Anti plotと言うつもりで混同してました、すみません。
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